【市川・本八幡駅すぐのジム】鵯越の逆落としから考えるボクシングの戦術と戦略

2019/03/20
【市川・本八幡駅すぐのジム】鵯越の逆落としから考えるボクシングの戦術と戦略

【市川・本八幡駅すぐのジム】鵯越の逆落としから考えるボクシングの戦術と戦略

 

1184年3月20日(旧暦2月7日)、源平合戦のひとつの山場となる戦いが繰り広げられた。
いわゆる、一ノ谷の戦いである。

 

今日からちょうど835年前のこと。
峻険な摂津国一ノ谷に陣取る平家の軍勢は地の利を活かし、源氏の進軍を阻んでいた。
しかし、一ノ谷の裏手に当たる断崖絶壁「鵯越」を騎乗したまま駆け降りる一団が現れた。
源九郎、源義経である。
あり得ない(と考えていた)奇襲によって平家側は潰走。
源氏勢が勝利した。
これが世にいう「鵯越の逆落とし」である。

 

ボクシングも相手と戦うスポーツである以上、
戦術(タクティクス)と戦略(ストラテジー)が存在する。

 

この場合、「鵯越の逆落とし」は戦術に当たる。
どう戦うか、如何に戦うか、どう攻めるか、などが戦術だ。

 

ジャブから右ストレートのワンツーパンチを、
相手のダッキングで避けられてしまうのであれば、
右ストレートでなく右アッパーにすれば当たる。
これが戦術というものだ。

 

きっと、ボクシング好きな皆さまならば、
これくらいの戦術はおわかりだろう。

 

だが、ボクシングを教える・指導するという点では、
これは必ずしも正解ではない。
将来的にその選手を育てていこうと思えば、
話はそんなに単純ではないのである。

 

幾人ものチャンピオンを育てた、
レイスポーツ流・佐藤達雄流は、その先を考える。

 

いま、ワンツーを当てられない選手だが、
これから先、ワンツーを武器にすることが得策な選手であれば、
ここでストレートのかわりにアッパーを打てとは教えない。

 

もっと速いワンツーを打てるようになれ!

 

そう指導する。
いま、安直な手段・戦術に頼らない。
将来を見据えて指導する。

 

先の例でいえば、上下に散らした速いワンツーが打てるようになれば、
相手のダッキングへのいい武器になるだろう。
そこまで考えての指導なのだ。

 

いうなれば、これが戦略である。

 

せっかく3月20日なので、話を義経の鵯越に戻そう。
確かに逆落としは優れた戦術だ。
なにせ勝利をもたらしたのだから、それは疑いようがない。

 

だが、リスキーではあったはずだ。
鹿が通れるから騎馬も通れるなんてギャンブルに近い。
大失敗の可能性だってあったはずだ。

 

さて、私は歴史家でも軍略家でもないから、
一ノ谷における正しい戦略はわからない。
しかし、正しい戦略とは、そんな戦術に頼ることなく勝利を得る方法を見つけることだ。
それは間違いないし、ボクシングであれば私たちはその答えを知っている。

 

私たちレイスポーツは、選手に安易な選択肢を選ばせない。
佐藤達雄は、選手に楽をさせない。
ただただ、最も正しい道を選び、指導するだけなのだ。

 

などと、日付にかこつけて、雄大な歴史と日頃の指導を見つめなおすのも、
たまにはオツかなと思い、筆を置くこととする。